三菱マテリアルは6月25日、高性能無酸素銅MOFCシリーズの新製品「MOFC-GC」を開発し、ラインアップを拡充したと発表した。MOFCシリーズは2021年に同社が開発し、それまでの無酸素銅と比べて強度と耐熱性を飛躍的に高めたもの。新製品は熱処理時の結晶粒の粗大化が極めて起こりにくく、電動車などの電子部品・モジュールの品質向上と工程安定化に貢献するとしている。

電気自動車や再生可能エネルギーの普及により、電子機器部材には大電流に対応するための高導電率や高放熱性能が求められており、優れた導電率と熱伝導率を有する無酸素銅の需要が急速に拡大している。電気自動車などで用いられるパワーモジュールでは半導体素子から発生する熱の放熱のため、AMB基板などが用いられているが、無酸素銅はその製造に不可欠となっている。ところが従来の無酸素銅は接合工程での熱処理による同の結晶粒の粗大化や不均一組織の生成など、AMB(Active Metal Brazing)基板の品質のばらつきや性能への影響を及ぼす課題があった。

同社はこれらの課題解決のため、長年培ってきた高品質な無酸素銅の製造技術と独自の材料設計及び特許技術を駆使し、「MOFC-GC」の開発に成功。従来の改良型の無酸素銅でも達成できなかった1,000℃の加熱に対しても微細で均一な結晶組織を安定的に保てることを確認しており、極めて高いレベルで結晶粒粗大化の抑制が可能となっている。加えて、導電率や熱伝導率も高い特性を有している。

同製品は0.3mm~1.2mmの幅広い板厚での提供が可能で、AMB基板などのセラミックス基板の回路層の材料に採用すると、光学認識性向上、表面の粗さ低減、めっき外観改善、銅回路層・セラミックス接合界面の超音波画像検査性の向上、基板の反り安定化、耐ヒートサイクル性能の向上、ワイヤーボンディング接合強度不足の解消、半導体素子のはんだ付けや焼結材接合のばらつき低減などの効果が期待できるという。

出典:三菱マテリアル プレスリリース