GNC letter
GNCレター
米半導体大手、Qualcommは2025年5月14日、サウジアラビアのAI企業HUMAINと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。次世代AIデータセンター、インフラストラクチャ、およびクラウドからエッジまでのサービスの開発を目指す。
HUMAINはサウジアラビアの政府系ファンドPIFによる支援を受け、皇太子ムハンマド・ビン・サルマンによって最近設立されたAI企業。次世代データセンター、超高性能インフラとクラウドプラットフォーム、最先端のAIモデル、深い業界知識と実践的な展開を融合した革新的なAIソリューションという4つの4つの主要分野にわたるフルスタックAI機能を提供するとしている。
このパートナーシップにより、両社はサウジアラビアに最先端のAIデータセンターを建設し、Qualcommのエッジおよびデータセンターソリューションを活用し、高効率でスケーラブルなクラウド・エッジ型ハイブリッドAI推論ソリューションを提供する。なお、このAI推論ソリューションはサウジアラビア国内だけでなく、世界各地で利用できるようにするとのことである。
また、Qualcommはデータセンター向けCPUおよびAIソリューションを開発する。同社がデータセンター向けCPUを開発するのは2017年に「Centriq」を発表した後に撤回して以来初めてとなる。
そのほか、Qualcommのプロセッサを搭載したエッジデバイスの活用により、HUMAINのAIクラウドインフラの活用を促進すること、HUMAINのアラビア語大言語モデル(ALLaM)をQualcommのプロセッサを搭載したエッジデバイスのエコシステムに統合することなどが取り決められた。
加えて、Qualcommはサウジアラビア通信・情報技術省(MCIT)と協力し、サウジアラビア国内に世界水準のデザインセンターを設立し、半導体エコシステムの構築と技術者の育成を図ることも発表した。
QualcommのCEOを務めるCristiano Amon氏は「私たちは、信頼性が高くコスト効率に優れた次世代のハイブリッドAIサービスをサウジアラビアおよび世界中で展開するために必要な、先進的なAIデータセンターインフラの構築を非常に楽しみにしている」と述べた。
また、HUMAINのCEOを務めるTareq Amin氏は、「私たちは単に技術革新を加速させるだけではなく、地域最強のクラウド・エッジ型ハイブリッドAIの基盤を築き、それがイノベーション、雇用創出、そして持続可能な経済的影響を生み出すことを目指している」と、今回のパートナーシップの意義を強調した。
なお、サウジアラビアは石油依存型経済からの脱却を目指す国家戦略「Saudi Vision 2030」を掲げており、その中核事業として、AI事業を置き、現在巨額の投資を進めている。今回のパートナーシップもその一環とみられる。
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