GNC letter
GNCレター
経済産業省は2025年3月31日、次世代半導体の国内での量産を目指すRapidusに対し、追加で最大8,025億円の支援をすると発表した。これにより、国による同社への累計の支援額は1兆8,725億円に上る。
同社は2022年11月に「ポスト5G基金事業」において、次世代半導体の研究開発プロジェクトに採択され、先端半導体製造に欠かせない蘭ASML製のEUV露光装置の発注やパイロットラインの建設、IBMへの技術者派遣などを対象に2022~2024年度までの3年間で8,665億円を上限とした支援が決定した。続いて、2024年4月には次世代半導体を活用する先端パッケージング技術の高度化を実施する研究開発プロジェクトにも採択。先端パッケージング技術の開発などを対象に2024年度に追加で535億円を上限とした支援が決定していた。これらに次いで、今回、外部有識者の審査を経て、2025年度の計画・予算が承認された。
今回決定した支援の対象は大きく分けて「日米連携に基づく2nm世代半導体の集積化技術と短TAT製造技術の研究開発」と「2nm世代半導体のチップレットパッケージ設計・製造技術開発」の2つ。前者は前工程技術に関連したもので、6,755億円を上限として支援が行われる。開発内容は、①2nm世代のロジック半導体の量産技術開発を進め、先行顧客向けPDKのリリースを行う ②パイロットラインの稼働を開始する ③装置、搬送システム、生産管理システムを開発し、パイロットラインに導入する ④EUV露光装置を立ち上げ製造装置の導入を進めるとしている。
一方、後者は後工程技術に関連し、1,270億円を上限とした支援が行われる。開発内容は、①600mm角パネルでの有機絶縁膜RDLインターポーザ開発、3Dパッケージ技術、量産化技術の検証 ②顧客向けデザインキット構築、KGD選別テストフロー(ウエハレベル/大レベル)開発となっている。
同社は2027年に最先端となる2nmの半導体の量産を目指しており、北海道千歳市の工場で4月から150人体制で試作ラインを稼働させる予定である。なお、経産省の金指壽情報産業課長によれば、「夏前ごろには最初の試作品が出てくる」という。
政府からの支援が2兆円に迫る規模で支援を行っている一方、民間からの投資が伸びていないことが課題となっている。2027年の量産開始に向けては、追加で3兆円規模の資金を調達する必要があるが、現状で民間出資はトヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど計8社からの73億円にとどまっている。Rapidusへの試作までの支援は新エネルギー・産業技術総開発機構(NEDO)からの研究開発の委託という位置づけによるものであり、量産を開始するにあたっては、工場や装置などの資産をNEDOから買い取る必要がある。同社は将来的に2nm品を活用する可能性のある国内企業との交渉を進めており、政府も各企業への出資を要請している。
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