半導体大手、キオクシアは8月8日、2025年3月期第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。売上高は前期比33%増、前年同期比71%増の4,285億円となり、4~6月期としては過去最高を更新した。また、営業利益は前年同期の1,308億円の赤字から1,259億円の黒字に、純利益は前年同期の1,031億円の赤字から698億円の黒字に転換、純利益は同期としては2年ぶりに最高益を更新した。

顧客の在庫調整が進み、需給バランスが改善した事による販売単価の上昇、フラッシュメモリ需要の回復によって出荷量が増加したほか、生成AIの普及により、データセンター向けの需要が増加し、同社の業績を押し上げた。加えて円安の進行も好影響を与えた。

同社は市場動向と見通しについても説明。顧客在庫正常化や需要回復により、需給バランスはほぼ均衡しているという。また、PC向け需要は回復が弱含んでいるが、スマートフォンの需要は緩やかに回復しており、今後はAI搭載デバイスの普及などによる買い替え需要が期待できるとしている。データセンター・エンタープライズSSDについては、顧客の在庫水準正常化やAI需要により伸びており、AI向けの高密度・高容量製品に加え、一般サーバーの需要回復も見込まれるとしている。

一方で、一部の顧客の在庫が再び増加に転じているという見方もあり、市況の先行きは不透明なところがある。同社は年内の株式上場を目指しているが、今後の市場動向次第ではこれが難しくなる可能性もある。