ルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)は2月15日、米国のソフトウェア企業であるAltiumを買収し、完全子会社化すると発表した。買収額は日本円で約8,900億円に上る。2024年下半期には買収を完了する予定である。

Altiumは1985年に豪州で設立され、現在は米カリフォルニア州に本社を置く。世界初のPCB(プリント基板)設計ツールプロバイダーであり、半導体製品に使うPCBをクラウド上で設計できるソフトウェア「Altium365」を手掛け、世界で高いシェアを持つ。ルネサスは2023年6月、社内で用いるPCB設計ツールを「Altium365」に統一することを発表していた。

ルネサスは、自動車や産業機器向けに複数のチップを組み込んだ、「組み込み半導体ソリューション」を提供しているが、技術の進歩に伴い、電子機器やシステムの設計や統合が複雑化している。そこで、Altiumの技術を利用し、統合されたオープンな電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォームを共に構築することで、複雑な設計ステップの全てをシステムレベルで一元化させることを目指す。同社はこれにより、「プラットフォーム上でデジタルを活用した設計プロセスのイテレーション(設計サイクルの反復)を行うことができるため、全体的に生産性を向上させるとともに、開発工数を削減することができる」としている。

ルネサスの柴田英利社長は、「エレクトロニクスの世界ではデザインは複雑化し消費者の好みはどんどんと変わっていくため、速いペースで市場をテストして新しいものを導入していかなければならない」としたうえで、「Altiumが持っているものを買ってくることに加え、一緒にこれから新しいソリューションを作り、提供することで未来を作っていこうというのが大きなテーマだ」と述べた。

出典:ルネサスエレクトロニクス株式会社プレスリリース