世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMCは米国政府の500億ドルの助成金を求めて、同社が米国アリゾナ州に半導体工場を建設するため数百億ドル規模の追加投資を検討している。

TSMCは昨年、100億〜120億ドルを投資してアリゾナ州フェニックスに半導体工場を建設すると発表した。昨年発表したプロセスノードは5nmであったが、工場が完成する頃には5nmプロセスはTSMCの中では最先端のプロセスではないと見られる。

当初TSMCは3nm以下の最先端製造プロセスによる生産を台湾に限定する方針だったが、台湾の深刻な水不足に加え、バイデン政権による積極的な半導体産業支援策もあって、計画を見直した格好となる。
今後、アリゾナに追加で建設される工場は、より高精度な3nm技術の工場とすることを現在検討している。さらに、TSMCは次世代の2nm技術による生産構想も出ているという。

今回、アリゾナ工場に最先端プロセス工場の追加出資を検討した理由については、欧州にTSMCが新規工場を建設するという交渉が不調であるとの見方もある。TSMCの広報担当者は、いかなる可能性も排除していないとする一方で、欧州で工場建設の計画はないと述べた。

TSMCの他、Intelはアリゾナに2つの新しい製造工場を建設することを発表し、Samsungはテキサス州オースティンの既存の工場の隣に別の工場を建設するために170億ドルを投資する予定である。