JX金属は2025年10月8日、光通信分野を中心に需要が急増するインジリウムリン(InP)基板の生産能力強化のための設備投資の追加を実施すると発表した。茨城県北茨城市の磯原工場に33億円を投じ、製造工程の一部を増強する。

InPは電気信号と光信号を相互に変換できる特性を持ち、光通信の受発光素子、ウェアラブル端末の近接センサーや産業用イメージセンサーなど、幅広い分野で用いられる高機能デバイスの製造に不可欠な先端素材。近年、生成AIの急速な普及を背景としたデータセンターの建設が加速している。一方で、データ伝送量の急増による消費電力の増加が課題となっており、これを解決するため、受発光素子を用いた光トランシーバーが注目され、需要が急増している。こうした背景から、同社はInP基板の生産を拡大するため、7月に約15億円の投資を発表していたが、同製品の中長期的な需要急伸への対応が急務であると判断し、更なる投資を決定した。

同社は追加投資により、同製品の生産能力を2025年比で5割増に引き上げる計画。7月発表の計画では目標を2割増としていた。7月発表分は2026年度、今回の発表分は2027年度に稼働開始を予定する。なお、同じ工場内で異なるエリアにラインを設けるとしている。同社は今後の投資についても引き続き検討しているという。