GNC letter
GNCレター
スイスに本社を置く半導体大手、STMicroelectronics(ST)は9月23日、同社が主催し、300mmウエーハを用いた次世代シリコン・フォトニクス技術の確立を目指すコンソーシアム「STARLight」がEC(欧州委員会)により、EU CHIPS事業のイニシアチブとして表彰されたと発表した。
同コンソーシアムにはEU域内11か国からテクノロジー企業や大学が24団体参加する。欧州が300mmシリコン・フォトニクス技術のリーダーとしての地位を確立することを目指し、産業界と学術機関の主要パートナーを結集したコンソーシアムの組織化、量産ラインの確立、最先端光学モジュールの開発、完全なバリューチェーンの育成に取り組んでいる。2028年までにデータセンター、AIクラスタ、テレコム、自動車市場などの主要産業に焦点を合わせたアプリケーション主導のソリューションを開発することを目的としている。
具体的に取り組む課題としては、レーン当たり200Gbpsを超える速度で動作可能な高効率モジュレータの製造、効率と信頼性に優れたオンチップレーザーの開発、新素材の開発、パッケージングの最適化などが挙げられる。こうした課題を解決し、アプリケーション別のイノベーションの実現を目指していく。
データセンター/データコムではSTがAWSなどと協力して開発する最新のシリコン・フォトニクス技術であるPIC100に基づき、最大200Gb/sを処理するデータセンター向けデータ通信デモンストレータの構築を初期の重点目標とする。また、宇宙と地上の両方における通信に向けて、自由空間光伝送システムのプロトタイプの開発も行う。
AI分野では、テンソル演算(行列のベクトル乗算、積和演算など)向けに最適化された最先端フォトニック・プロセッサを開発し、サイズやデータ処理速度、消費電力に関して、既存技術に対して上回ることを目指す。
テレコム部門ではモバイル・ネットワークを効率化するため、スウェーデン・EricssonがRAN(無線アクセスネットワーク)内での光通信の負荷を軽減するスイッチを集積する技術開発と、光ファイバ上の無線(RoF)技術研究に基づく消費電力の大きいASICをアンテナユニットから離れた場所に配置し直すことで、容量の増大とCO2削減を図ることを目指す。また、アイルランド・MBRYONICSは、自由空間の光(FSO)通信の受信側において自由空間と光ファイバとのインタフェースを開発する。
加えて、自動車/センシングでは、仏Thalesが主要機能を実証するため、複雑な波形を持つ信号を高精度で生成、送信、検出、処理するセンサを開発する。
STのRemi El-Ouazzane社長は「シリコン・フォトニクス技術は、ヨーロッパを未来のAIファクトリーへの分岐点に立たせるために不可欠であり、STARLightプロジェクトはヨーロッパ全体のバリューチェーンにとって重要な一歩を意味する」とし、「欧州全域で高く評価されているパートナーとともに、STARLightコンソーシアムは次世代のシリコン・フォトニクス技術とその応用をリードする立場にある」と、その重要性を強調した。
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