米半導体大手、Texas Instruments(TI)は2025年6月18日、米国内で600億ドル(8兆7,000億円)以上を投資すると発表した。スマートフォンやデータセンター、自動車など幅広い分野に用いられる基盤半導体の製造拠点の拡大が目的。基盤半導体への投資としては米国史上最大となる。具体的な投資期間については示されていない。また、今回の投資により、計6万人以上の新たな雇用を創出するとしている。

同社は2024年8月にテキサス州とユタ州の3か所の製造拠点に7つの半導体工場を建設する計画を発表しており、同年12月にはバイデン前政権から「CHIPS法」に基づく約16億ドルの補助金が承認されていた。今回の投資先には発表済みのものも含まれているため、投資規模を拡大した形だ。

最大460億ドルはテキサス州の4工場に投資する。このうちシャーマンのSM1とSM2の2工場については既に着工しており、将来の需要に対応する目的で同地に建設予定のSM3とSM4の2工場が新たな投資案件となる。また、同州リチャードソンの2番目の工場となるRFAB2は2022年から稼働を開始し、現在はフル生産に向けた取り組みが進められている。

一方、ユタ州リーハイには約150億ドルが投資される見込み。2022年末よりアナログ半導体の製造を開始したLFABに隣接する形で2023年11月に建設が開始されたLFAB2の建設に追加投資される。

トランプ米政権は米製造業の復興を掲げ、関税政策を打ち立てている。半導体に対しても関税を検討している。米国内に巨額投資をすることにより、政権との足並みを揃え、関税圧力を回避する狙いがあるとみられる。

出典:Texas Instruments News Release