韓国・サムスン電子は1月31日、2025年第1四半期のAI(人工知能)半導体の売上が低迷する可能性があると警告した。米政府による対中半導体輸出規制や先端半導体の改良が進んでいることによる顧客の需要変化が要因。

米政府は昨年12月2日、中国に対する半導体規制を強化し、AIの開発に不可欠であるHBM(高帯域幅メモリ)の中国向け出荷の制限などが盛り込まれた。同社の製造するHBMの売上の約20%は中国向けとされており、輸出規制による打撃は大きい見通しだ。

また、HBM3から次世代製品であるHBM3Eへの顧客需要の転換も進む。同社のキム・ジェジュン メモリ事業部副社長は「第4四半期に多数のグラフィック処理装置(GPU)供給社とデータセンター顧客向けにHBM3E供給を拡大した」とし、「HBM3E売り上げがHBM3の売上を超えた」と述べた。但し、同社のHBM3Eは米NVIDIAの要件を満たしておらず、苦戦を強いられている。

一方で、同社はHBM3Eの改良製品を3月末から主要顧客に供給する予定であるとした。4月~6月期から供給が本格化することが予想されており、同期移行は需要が当初の予想より早く移行するとの見方を示している。また、同製品がNVIDIAの品質テストを通過したという報道もあるため、今後の売上の大幅増加が期待される。