世界最大のテクノロジー見本市「CES2025」が1月7日〜1月10日に米ラスベガスで開催された。次世代モビリティやAI(人工知能)をはじめとする様々な分野の最新技術が各企業から発表された。

モビリティでは本田技研工業(Honda)が2026年にグローバル市場への投入を開始するEV「Honda 0シリーズ」の「Honda 0 SALOON」、「Honda 0 SUV」のプロトタイプを世界初公開するとともに、同シリーズに搭載する独自のビークルOS「ASIMO OS」を発表した。同社は同シリーズを通じて自動運転レベル3(アイズオフ)をスピーディーにグローバルへ拡大し、世界に先駆けて全域アイズオフを実現するとした。また、ルネサスエレクトロニクスと2020年代後半に投入する同シリーズの次世代モデルに採用する高性能SoC(システム・オン・チップ)の開発契約の締結も併せて発表した。

ソニー・ホンダモビリティは新ブランド「AFEELA」の初のモデル「AFEELA1」を発表した。同モデルには40のセンサー(カメラ、LiDAR、レーダーなど)と最大800 TOPSの電子制御ユニット(ECU)を搭載したADAS(先進運転支援システム)が標準装備されており、認識、予測、行動計画をAIが処理できる。また、Unreal Engineを活用したADASビューにより、周辺環境や運転状況をビジュアル化することができるという。同モデルは2025年内の正式販売を予定している。

AI分野では、パナソニックの楠見雄規社長が基調講演に登壇。2035年までにグループ売上高に占めるAI(人工知能)関連事業の比率を現在の1割弱から約3割にまで高め、AI関連だけで2兆円の売上高を目指す「Panasonic GO」という計画を掲げるとともに、その一環として、AIを使った生活コンシェルジュサービス「Umi(ウミ)」を2025年中にもアメリカで提供すると発表した。このサービスは消費者が最終顧客となるもので、AIを用いて、ユーザー家族に生活改善のためのアドバイスをしてくれたり、必要なサービスを提供してくれるようなファミリーコンシェルジュサービスである。複数のアプリやサービスにまたがって、要求した内容を実行してくれる「オーケストレーション(指揮)機能」を家庭向けに提供するのが大きな特徴だ。なお、日本国内でのサービス展開は未定だが、「いずれ検討したい」としている。

米Intelは暫定共同CEOで製品部門責任者を務めるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が基調講演にて登壇し、現在開発中の次世代プロセッサ「Panther Lake」のICチップを披露した。Panther LakeはIntel Core Ultra(シリーズ2)で得られた進歩を次のレベルに引き上げる製品になる計画。現在は試作チップを用いたシステム動作確認や、顧客へのサンプル提供なども既に行っているとしている。ホルトハウス氏は「Panther LakeはIntel 18Aプロセスの主力製品であり、2025年後半の発売を予定している」と述べた。

韓国・サムスン電子は新たなフラッグシップテレビ「Neo QLED 8K QN990F」を発表。同モデルには同社の次世代AIプロセッサ「NQ8 AI Gen3プロセッサ」が搭載されているのがと特徴である。同プロセッサは膨大な映像データをリアルタイムで処理し、従来のAIチップよりも高速かつ高精度な演算が可能である。これにより、8K AIアップスケーリングプロにより低解像度コンテンツでも鮮明な8K画質を実現した。

これ以外にも、計160余りの国・地域から1400社のスタートアップを含む4500社が出展し、1100人のスピーカーによる300以上のセミナーなどが行われ、最新技術が披露された。