車載半導体大手であるオランダのNXP Semiconductorsは、台湾の鴻海精密工業の子会社であるFoxconn Industrial Internet 社(以下FII)と、自動車を究極のエッヂデバイスに変えていくための戦略的パートナーシップを結ぶことを発表した。

この提携では、NXPが同社の持つ車載半導体や自動車向けの技術をFoxconnに向けて提供していく。このプロジェクトは、自動車のデジタルコックピットソリューションに焦点が当てられ、この中にはデジタルクラスターとヘッドアップディスプレイシステムが含まれる。両社の提携の成果は、自動車メーカーやTier ONE部品サプライヤーといった顧客に革新的な車内体験をもたらすとしている。

両社が共同開発したデジタルコックピットソリューションは2023年に量産が開始される予定。今後両社はNXPのレーダーソリューションによって強化されたUWB(超広帯域無線)を軸とした車内通信システムと自動運転への拡大を目指す。

フォックスコンは、2021年5月には、フィアット・クライスラー・オートモービルズとフランスのPSAグループの合併で誕生した世界4位の自動車メーカー「ステランティス」とも車載用ソフトウェアで提携することを発表しており、2社が50対50で設置した合弁会社「モバイル・ドライブ」社ではデジタル・コックピットシステムを開発する。

フォックスコンは他にも米国や中国の新興EVメーカーと提携を結んでいる。同社はこれまではiphoneを始めとしたデバイスの組み立てを生業としてきたものの、今後自動車が一気にEV化し、電子デバイスを車内に多数搭載する環境の変化を新たなビジネスチャンスの到来と見て、積極的にデジタルコックピットの開発、量産を推し進めていると見られる。