露光装置世界最大手の蘭ASMLは7月17日、2024年第2四半期(4月~6月)の決算を発表した。売上高は前期比18.0%増、前年同期比10.5%減の62億4,300万ユーロ、営業利益は前期比19.1%増、前年同期比9.4%減の32億1,200万ユーロ、純利益は前期比28.9%増、前年同期比18.7%減の15億7,800万ユーロとなった。前年同期と比べると、主にTSMC向けの高価な先端プロセス向け露光装置の販売が減少したため、減収減益となったが、やや不調だった前期からは回復した。

地域別の売上高を見ると、前期に引き続き中国向けが最多で、全体の49%を占めた。また、光源別の売上高比率では、ArFiが前期(39%)から50%に拡大した。ここから、輸出規制対象となっていない装置の中国向け輸出が売上を牽引したものと読み取れる。

用途別の売上高を見ると、2024年第2四半期はロジック向けが54%(前期63%)、メモリ向けが46%(前期37%)と、メモリ向けの売上が回復しつつあることが伺える。AIの急速な普及により、HBMやDDR5といった高付加価値製品の需要が急増していることにより、同社のメモリ向け装置の需要も増加したものと見られる。なお、同社が2024年第1四半期に初めて出荷したEUV露光装置「NXE:3800E」は今期も追加で出荷したとしており、下半期には出荷の大半が同装置になるだろうと予測している。加えて、高NA EUV露光装置についても2台目を出荷し、設置を進めているという。

同社は第3四半期及び2024年通期の見通しについても発表。第3四半期の売上高を67億ユーロ~73億ユーロと予想した。また、2024年通期の業績見通しについては、従来からの変更はなく、売上高は2023年と同程度で売上総利益率はやや低下すると予想している。「NXE:3800E」の売上の増加により、下半期の売上高は上半期から大幅に良化するとみられる一方、高NA EUV装置のコストの増加によって相殺されるとしている。

同社の最高経営責任者(CEO)であるクリストフ・フーケ氏は今期について「好調な四半期だった。売上高、粗利益率は事前予想を上回った」と評価した。また、「ロジックとメモリの両顧客ともに露光装置の利用レベルが改善されている。主にマクロ経済の影響から半導体市場には依然として不確実性が残っているが、2024年後半も業界の回復が続くと予想している」としたうえ、「業界は2025年には循環的な好転に転じると予想している」と述べ、今後の更なる市場拡大に期待した。

出典:ASML Press Release