東芝は6月12日、2027年3月期までの3年間でパワー半導体事業に計1,000億円を投資すると発表した。2024~2026年度の中期経営計画の一環で、投資額は連結投資額の4分の1にあたる。

同社が成長投資の柱の一つに据えるのがパワー半導体だ。生産子会社の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)に新たな生産ラインを導入し、姫路半導体工場(兵庫県揖保郡太子町)とタイ・プラチンブリ県の後工程工場も拡張する。電気自動車(EV)普及など、脱炭素化によるパワー半導体需要の拡大に対応する。また、生産の効率化のため、提携先の電子部品大手、ロームに加えて他社との協業も検討する。

経営混乱が続いていた同社は2023年12月に日本産業パートナーズ(JIP)の傘下に入り、経営再建を図る。5月に発表した中期経営計画では、総務などの間接部門を中心にグループ全体で最大4,000人の人員を削減することを盛り込んでおり、人件費削減により浮いた経費を成長事業の投資に充てる計画である。

東芝では今後パワー半導体事業を同社の再成長へ向けた大きな足掛かりとする構えである。