独Infineon Technologiesは2月22日、フィリピン・カビテと韓国・天安にある後工程製造拠点を、組立・テストにおける独立系半導体製造サービス大手の台湾・ASE Technologiesに売却すると発表した。現在、カビテ工場はInfineon Technologies Manufacturing、天安工場はInfineon Technologies Power Semitechによって運営されているが、ASEの完全子会社であるASE Inc.とASE Koreaにそれぞれ売却する。売却額はカビテ工場が約3,900ユーロ、天安工場が約2,360ユーロ。2024年第2四半期末の取引完了を予定している。

業界筋によれば、カビテ工場は主にリードフレームのパッケージングの生産ラインをレイアウトしており、自動車、産業制御および一般的なアプリケーションを対象とする。一方の天安工場は主にパワーチップモジュールのパッケージングとテストに焦点を当て、家庭、産業オートメーション、自動車分野などのアプリケーションを対象としている。

現在、カビテ工場には900人以上、天安工場には約300人の従業員が勤務しているが、ASEは譲渡完了後、現在の従業員での運営を継続し、両拠点をさらに発展させる予定である。また、両社は長期の供給契約を結んでおり、Infineonは顧客をサポートし、既存のコミットメントを履行するために、既に確立されたサービスに加え、新製品のサービスを引き続き受けることになる。

今回の2拠点の売却は、「自社製造と外部製造を組み合わせたバランスの取れた事業展開」を目指すという、Infineonの製造戦略によるものである。拠点売却により、InfineonとASEは相互のシナジー効果を発揮し、両社にとって魅力的な成長の可能性を生み出すことができるとしている。

Infineonのエグゼクティブバイスプレジデント兼バックエンドオペレーション責任者のAlexander Gorski氏は、「ASEはインフィニオンの長年にわたる信頼できる戦略的パートナーだ」としたうえで、拠点売却が「相互のシナジー効果をもたらし、サプライチェーンの強靭性を強化しながら、さらなる成長を可能にする」と述べた。

また、ASEの最高執行責任者(COO)であるTien Wu氏は、「自動車市場とパワーマネージメント市場の両分野は、ASEの戦略的重点分野だ」としたうえで、2拠点の買収が将来の成長機会にマッチした後工程製造ソリューションの開発においてInfineonと戦略的な長期パートナーシップを形成するという当社の強いコミットメントを示すものだ」と述べた。「Infineonの車載用半導体及びパワー半導体市場でのリーダーシップと、ASEの後工程製造での主導的地位によって、この提携は製品企業から最終消費者までのエコシステム全体にとってWin-Winのソリューションを生み出すことになる」と、今後の期待を示した。

出典:Infineon Technologies プレスリリース