半導体製造向けのスパッタリングターゲット材で世界トップシェアを誇るJX金属株式会社は、東京証券取引所への株式上場準備を開始したことを発表した。

背景としては、ENEOSグループを取り巻く事業環境が世界的なカーボンニュートラル社会の実現に向けた動きの加速や、デジタル化の進展をはじめとして、新型コロナウイルスや地政学的リスクがもたらした世界経済の減退や生活様式の変化など、かつてない転換期を迎えていることに起因している事だとしている。

この状況下で、ENEOSグループの発表した長期ビジョンは「エネルギー・素材の安定供給とカーボンニュートラル社会実現の両立」と定めた。この長期ビジョン実現に向け、最適な事業ポートフォリオを構築するために、長期ビジョンに掲げる成長事業とJX金属の事業との間での更なる相乗効果の可能性及び両事業の事業特性の違いを見極めた結果、ENEOSグループの経営資源を成長事業の育成に一層振り向けながら、両社の持続的な成長を促し、JX金属の経営の最適化と更なる企業価値向上を追求するには、JX金属の株式上場が最適であるとの結論に至ったとしている。

このJX金属の株式上場によって、ENEOSホールディングスとしては、事業戦略の遂行及びエネルギートランジションの実現に向けた事業ポートフォリオ転換に必要となる投資や株主還元を機敏かつ確実に実行することが可能となるとしている。

一方のJX金属では、株式上場を通じて、専門性が高く、迅速な意思決定を可能とする経営体制の確立及び事業特性に応じた最適な資本構成を実現し、競争力の高い半導体材料・情報通信材料等の分野における設備投資、R&D等を加速させることにより、企業価値の向上を実現していくことを狙っている。

今後、JX金属の上場後は、JX金属の半導体材料・情報通信材料業界における強固なポジションに基づく高い成長性を株式市場に適正に訴求することにより、ENEOSグループの企業価値の最大化を図っていく。