大手半導体メーカで2022年設備投資計画見直しの動きが相次いでいる。スマートフォン、PC、コンシューマで半導体需要が下降しており、エンドユーザーでの在庫調整が進んでいるとみられ、半導体各社でも投資を絞りはじめた。
世界最大のシリコンファンドリである台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)社の魏哲家CEOは、2022年7月14日の2022年第2四半期業績説明会で「2022年12月期の設備投資額は計画(400億〜440億米ドル)の最も低い水準に近くなる。前年度比で最大9%縮小となる」とコメントしている。
さらに「現在の半導体サイクルは典型的なサイクル(シリコンサイクル)に似ており、2023年前半まで在庫調整が続く可能性がある」ことから、投資を抑え、一部を2023年度以降にずらすことにした述べている。
メモリでも在庫調整、価格低下などから市場は下降局面に入っているものと見られる。調査会社Trendforceのデータでは2022年第1四半期市場は、DRAM市場が前期比4.4%減、NAND型フラッシュメモリは同3.0%減となった。インフレやそれに伴う、PC、スマートフォンなどでの需要の減退、在庫調整の進行などが原因とみられる。メモリメーカでは、当面このような状況が続くと判断、設備投資にブレーキをかけている。
韓国Samsung Electronics社は「需給に応じて投資を進める」との方針を示しており、2022年第1四半期時点で投資額を前年度同期比21%減としている。第2四半期以降も慎重に投資を進めていくものと見られる。
韓国SK-hynix社も投資計画の見直しを行っており、2023年着工を予定していた新工場「M17」への投資延期を決めたものとみられる。2022年度投資についても見直しを行っている。
米Micron Technlogy社は2022年6月の決算発表の段階ですでに「次年度(2023年8月期)の設備投資は前年度比減少となる」(Sanjay Mehrotra CEO)としていた。