オランダNexperia社は2021年7月6日、英ウェールズのNewport Wafer Fab(NWF)社の買収手続きを完了したことを発表した。買収後は完全子会社Nexperia Newportとして運営する。現在の同工場の設備、雇用は継続する。
買収額は非公表だが、米メディアCNBC(Consumer News and Business Channel)は6,300万ポンドと推定している。
NexperiaはNWFのファウンドリ・サービスの顧客であり、2019年に第二位の株主となっている。Newport工場は、英国Manchester、独Hambrugに次ぐ3番目の工場として他の製造拠点を補完する。
NWFの工場は、1982年に英INMOS社の工場として設立されたもの。現在の生産能力は200mmウエハで月産3万5,000枚超。MOSFETやTrench IGBTからCMOS、アナログ、化合物半導体などの製造に対応している。Nexperiaは既存ラインで200mmラインの生産能力強化に向けて積極的な投資を行っており、NWF買収もこの増強戦略の一貫である。
Nexperiaは以前はNXP Semiconductorsのスタンダードプロダクト部門であったが、2016年に中国のファンドであるJAC CapitalとWise Road Capitalが買収、独立企業として活動を行っていた。その後、同社株式は中国のスマートフォンODM企業であるWingtech Technolgy社に売却され、現在は同社の子会社となっている。
Nexperiaが中国企業の傘下にあることから、英国内にある数少ない半導体製造工場(前工程)であるNWFの売却について、英国内では「中国資本への売却は国防上から懸念がある」と指摘する意見もでているようだ。