2020年のディスプレイに用いられるパネルは、大型、小型向け共に、ハイエンドは有機EL、エントリーモデルは液晶という形で棲み分けがされていた。

しかし、この棲み分けが今年から大きく変わろうとしている。変化する要因となる技術がLEDである。
これまで、自発光する有機ELに対して、自発光することが出来ない液晶はバックライトを取り付ける事によって、映像を映し出してきた。これまでもLEDは液晶のバックライトとして利用されてきたが、黒い画面を発光せずに画素ごとに表示できる有機ELに対し、液晶ディスプレイはバックライトの光が漏れて黒い画面が白っぽく表示されることで、コントラスト比において有機ELの方に分があった。

そこで、開発者たちは2種類の方法でより小型のLEDをディスプレイに利用することにした。
一つはmini LEDと呼ばれるLEDである。通常のLED(300μm)の1/3〜1/2程度のサイズのLEDを液晶のバックライトに搭載することによって、コントラスト比を従来の液晶ディスプレイから高めることに成功した。2020年まではminiLED 搭載テレビは、中国のTCLなど、ごく一部だったが、今年に入り、miniLED搭載商品が一気に拡大してきそうだ。

先週開催されたCES2021では、中国のTCLが8Kに対応したテレビを発表した。2018年からmini LEDを搭載しているTCLは、テレビ向けのminiLED分野ではパイオニアの位置にいる。

今年はTCLに加えて、テレビ向け有機ELパネルでは世界シェアトップであるLGディスプレイもmini LED搭載液晶テレビを発表してきた。LGはミニLED搭載テレビを、これまでの液晶とは一線を画すとして、プレミアム液晶テレビのラインナップとして発売していくという。画素の一つ一つが自発光し、量産が進み価格も小慣れてきた有機ELに対して、miniLED搭載ディスプレイが性能・価格でどれほどの違いが出てくるかも興味深い。

一方、小型ディスプレイの分野では、米Appleが、次期ipad pro向けのディスプレイを液晶からminiLEDに変更するのではと、しきりに噂されている。供給元は、日本でもBenQブランドで知られる、台湾のAU Optronicsであると言われる。AU Optronicsでは、既にノートPC向けのminiLEDパネルを供給している。
Appleに搭載されれば、今後は市場の評価次第でipadからMacbook、iMacへと搭載機種が広がる可能性も高まり、有機ELが高価格がネックで普及しきれていない中、miniLEDがノートPC、PC向けに今後爆発的な普及を見せて行く可能性がある。

一方、miniLEDよりも更に小型(約30μm)のマイクロLEDは、自発光する画素として機能する。1ユニットあたり3色のマイクロLEDが搭載され、サムスンが発表した110インチのテレビでは、800万個以上のマイクロLEDが搭載されると言われている。そのため、現在はまだマイクロLEDの実装と高い歩留まり率を達成する所に課題があり、サムスンが発表したマイクロLEDディスプレイのテレビの価格は1,600万円とされる。この価格ではまだ市場への普及は望めないが、マイクロLEDを今後のディスプレイの本命だと考えるメーカーも多く、今後数年での大幅な価格引き下げに期待がかかる。
小型ディスプレイの分野では、中国のテレビメーカー、コンカがマイクロLED搭載スマートウォッチを開発した。LEDの低消費電力を生かして、バッテリーの寿命は同サイズのカラーディスプレイ搭載既存スマートウォッチよりはるかに長い35日間と発表されている。また、テレビと比較すれば搭載LED数も少なく済む為、テレビほど既存のディスプレイとの価格差は付かないと推測される。

KONKA APHAEA MICRO LED WATCH

LED関連以外でも、今回のCES2021では、LGがテレビに続いて、巻取り式OLEDスマートフォンを発表するなど、大・小型ディスプレイの東アジアの次世代ディスプレイ戦争が加熱している。かつて、日本が韓国から液晶ディスプレイや有機EL市場の大多数を奪われたように、力を付けている中国企業が現時点では優位に立つ韓国メーカーから市場を奪って行く事も考えられ、今後も目が離せない。

一方、日本企業もJOLEDがLGディスプレイと協業して、クリエイター向けハイエンド有機ELディスプレイの発売を目指す。JOLEDは、クリエイター向けディスプレイを販売するEIZO向けに、21.6型有機ELディスプレイを供給した実績がある。
EIZOは「Foris Nova」の名で、このディスプレイを350,000円で販売した。
これに続く形で、LGはJOLED製ディスプレイを搭載したUltraFine OLED Pro をCES2021で発表したのだ。中型ディスプレイの高付加価値帯で、JOLEDが日本のメーカーとして存在感を発揮することが期待される。