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GNCレター
日本ガイシは10月23日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(量子産業化)」において、「光量子コンピュータ産業化に向けたTFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)光技術の研究開発」が採択されたと発表した。同プロジェクトには同社に加え、山寿セラミックス、オキサイド、浜松ホトニクス、産業技術研究所が参加する。光集積回路の開発に取り組むほか、同プロジェクトを通じ、光量子コンピュータの実用化を加速し、次世代AIを支える情報処理基盤の構築に貢献するとしている。
生成AIの普及を背景に、消費電力やエネルギーコストの問題の解決策として、量子コンピュータが注目されている。従来の量子コンピュータは超低温で動作するため、巨大な冷却装置が必要で、それに伴う膨大なエネルギーコストが問題となっていた。一方、光方式の量子コンピュータは室温で動作できるため冷却装置が不要となり、設置スペースの大幅削減や省エネルギー化にも貢献する。また、光ファイバーとの親和性も高いことも特徴である。
同プロジェクトでは、この光量子コンピュータの実用化に向け、光集積回路の開発に取り組む。その中で日本ガイシは集積回路に不可欠なTFLNウエーハの開発を担当する。ここには、同社がSAWフィルター用複合ウエハで培ってきた直接接合技術を活用する。同技術の特徴は、 ①熱膨張係数の低いシリコンと高品質な単結晶圧電基板を接合することで、圧電結晶の機能を損なうことなく温度特性の改善 ②精密研磨加工技術により圧電体層(機能層)の厚みばらつきを低減 ③ウエーハサイズは6インチまで対応可能 などがある。室温で接着剤を使用せずに異なる材料を高精度に貼り合わせられるため、TFLNの材料特性を確保した高い信頼性を実現する。
加えて、超精密研磨技術により、ウエーハの薄型化にも貢献する。これらの技術をもとにして、8インチサイズのTFLNウエーハを開発し、量産時のコスト削減や競争力強化も図る。
同プロジェクトは2027年度までの3カ年計画で実施。プロジェクトには助成金が支給されるが、その支給額については非公表となっている。
出典:日本ガイシ ニュース
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