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GNCレター
米半導体設計ソフトウェア大手、Synopsysは2025年7月17日、シミュレーションソフトを手掛ける米Ansysの買収を完了したと発表した。買収金額は350億ドル。なお、この買収は2024年1月16日に公表されたもので、統合により、顧客のAI駆動型製品の迅速な革新に繋がる。
買収により、Synopsysは同社の持つ半導体設計、IP(知的財産)の技術、知識と、Ansysの持つシミュレーション、分析の技術、知識を統合することで、半導体、ハイテク、自動車、航空宇宙、産業機器など、幅広い業界の顧客に対して、包括的なシステム設計ソリューションを提供できるようになる。また、これにより、総額310億ドルに拡大したターゲット市場に対応できるようになる。
Synopsisの代表兼CEO、Sassine Ghazi氏は「インテリジェントシステムの開発はますます複雑化しており、電子工学と物理学が深く統合され、AIによって強化された設計ソリューションが求められている」とし、「Ansysの高度なシステムシミュレーションおよび解析ソリューションがSynopsysの一部となったことで、エンジニアリングチームの能力を広範囲に最大化し、シリコンからシステムに至るまでの革新を促進できるようになる」と、今回の統合に期待した。
また、Ansysの代表兼CEOを務めてきたAjei Gopal氏は「私たちの両社は、共通の企業文化、長年にわたる成功したパートナーシップ、そして今では革新者の力で人類の進歩を促すという共通の使命を持っている」とし、「この使命をSynopsysの取締役会の一員として果たすことを楽しみにしており、迅速かつ成功裏な統合を期待している」と述べた。
Synopsysは、Ansysの吸収を受け、統合技術ロードマップを迅速に展開する。2026年前半に、マルチダイの高度なパッケージングを含むEDAスタック全体にマルチフィジックスを融合した統合機能の最初のセットを提供する予定である。また、ロードマップには、自動車およびその他の業界向けのシステムのテストと仮想化を進めるためのソリューションも含まれている。
なお、この統合に関しては、欧州および米国の規制当局の承認は既に得ていたが、この度、中国の規制当局の承認も条件付きで得ることとなった。米国が今月、半導体設計ソフト開発企業に対する中国への輸出規制を解除し、Synopsisを含む企業が中国の顧客向けにソフトウェアや技術を再び提供できるようになったことが今回の承認につながったとみられる。
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