米の半導体製造装置世界最大手、Applied Materials(AMAT)は2025年6月16日、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の付属機関であるCEA-Leti(電子情報技術研究所)と進めてきた長期的コラボレーションを次の段階に進め、特殊用途向けの半導体のイノベーションを加速させることを発表した。両者は共同研究施設を拡張し、AIデータセンターの新たなインフラ課題に対応するマテリアルズ・エンジニアリング・ソリューションの開発を進めるとしている。

両者が仏グルノーブルに構築した共同研究施設は、ICAPS(IoT、通信、自動車、パワー、センサー)市場向けにチップを供給するメーカー向けのデバイスイノベーションを目指すもの。AIインフラのリソース需要が高まる中、これらの用途向けのチップについても、よりエネルギー効率が高いコンピューティングを実現する新たなイノベーションが求められているという。

新たなパートナーシップでは、共同研究施設を拡張し、AMATのウエーハ処理装置をはじめとする新たな設備や機能が導入される。これにより、個々のプロセスステップだけでなく、ICAPS向け半導体の開発フロー全体を扱えるようにする。また、CEA-Letiが新材料の性能評価やデバイス検証に関する能力を提供するとしている。

加えて、最先端のパッケージングツールも導入し、ウエーハの種類やプロセスノードの違いを超えたヘテロジニアスインテグレーションをサポートすることで、多様な次世代アプリケーション向けの半導体を生み出す。この施設拡張により、仏の半導体製造エコシステムが一段と強化されることが期待される。

AMATのコーポレートバイスプレジデント兼ICAPS事業担当ジェネラルマネージャー、Aninda Moitra氏は「私たちの専門知識を組み合わせ、ブレークスルーを促して半導体イノベーションの限界に挑むことは、AI時代における各種クリティカルアプリケーションの持続的な進歩に寄与するだろう」と大きな期待を寄せた。

CEA-LetiのCEOであるSebastian Dauve氏は「この拡張コラボレーションは私たち双方が持つ補完的な長所を生かし、システムレベルでイノベーションを加速するとともに、フランスの半導体エコシステムの持続的成長をサポートする」と、パートナーシップの意義を強調した。

出典:Applied Materials News Release