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米NVIDIAは6月10日、「NVIDIA Grace Hopper」プラットフォームを搭載したスーパーコンピュータ「JUPITER」が欧州最速であると発表した。2番目に高速のシステムと比較して、ハイパフォーマンスコンピューティングとAIワークロードの分野で2倍以上速いという。
「JUPITER」はドイツ・ユーリッヒのユーリッヒスーパーコンピューティングセンターに設置され、EuroHPC共同事業体が所有している。2025年6月のTOP500ランキングにおいて、実効性能が793.4ペタフロップス(Rmax)を記録、欧州最高性能のシステムとして評価された。
「JUPITER」はCPUとGPUを統合した「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」を約24000基搭載し、「NVIDIA Quantum-2 InfiniBand」ネットワークと相互接続している。また、物理的な構成には、Superchipを高密度で収容可能なモジュール型の液冷アーキテクチャ、Eviden製の「Bullsequana XH3000」を採用した。
これにより、1秒あたり100京のFP64の演算を処理できるようになる見込みである。エクサスケールのスーパーコンピュータは欧州では初であり、気候モデリング、量子研究、構造生物学、計算工学、天体物理学といった多様な分野において、AIモデルのトレーニング、推論、科学的シミュレーションの規模と速度を飛躍的に高め、ヨーロッパにおけるイノベーションと研究開発の推進力となることを期待されている。また、1Wの処理速度は60ギガフロップで上位5社のスーパーコンピュータの中では最も高いエネルギー効率となっている。
NVIDIAの創業者兼CEOであるJensen Huang氏は「ユーリッヒと Eviden とのパートナーシップにより、NVIDIA はヨーロッパで最も先進的な AI スーパーコンピューターを構築し、主要な研究者、産業界、そして機関が人類の知識を拡大して、ブレークスルーを加速し、国家の発展を促進できるよう支援する」と自信を示した。
また、「JUPITER」を所有するEuroHPC共同事業体のエグゼクティブ・ディレクターであるAnders Jensen氏は「JUPITER のコンピューティングパワーは科学的発見の触媒となり、気候モデリング、エネルギーシステム、バイオメディカルイノベーションなど、多様な分野におけるヨーロッパ大陸全体の基礎研究を推進するだろう」と今後への期待を述べた。
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