米半導体大手、Texas Instruments(TI)は3月11日、世界最小のArm Cortex-M0+ベースのMCU(Micro Controller Unit)「MSPM0C1104」を発表した。サイズは僅か1.38平方ミリメートルで、ごま粒と同程度で、競合の最小サイズ品よりも38%小型だという。これにより、医療用ウェアラブルやパーソナル・エレクトロニクスなどのアプリケーションにおいて、性能を損なうことなく基板スペースを最適化できるようになる。

同社はArm Cortex-M0+ベースのMCU「MSPM0」シリーズとして、エントリーレベルの「MSPM0C」と低消費電力のMSPM0L」、高性能の「MSPM0G」の3シリーズを展開している。今回発表したのはエントリーレベルの新製品である。

消費者は、電動歯ブラシやタッチペンなど、日常的に使用される電子機器に対して、より小さなフットプリントでより多くの機能を低コストで提供することを求め続けている。こうしたニーズに応えるためには、小さな基板面積で機能を追加できる集積部品が求められる。今回の新製品は、意図的な機能選択及び同社のコスト最適化努力に加え、ウエハレベルチップスケールパッケージ(WCSP)の利点を活用したことにより、サイズを競合製品よりも38%小さくすることに成功した。

新製品は最大24MHz動作の32ビットArm Cortex-M0+コア、16Kバイトのフラッシュメモリ、1KバイトのSRAM、3チャンネルの12ビットA-Dコンバーター(ADC)、3つのタイマーおよび、6つのGPIOピンなど備えるほか、UART、SPI、I2Cなどの標準通信インタフェースをサポートする。「高精度かつ高速なアナログ・コンポーネントを世界最小のMCUに統合することで、設計者は基板サイズを大きくすることなく、組み込みシステムの演算性能を柔軟に維持することができる」としている。

同社のマイクロコントローラ担当副社長兼GMのVinay Agarwalは「イヤホンや医療用プローブなどの小型システムでは、ボード・スペースは希少かつ貴重な資源だ」とし、「世界最小のMCUが加わったことで、MSPM0 MCUポートフォリオは、日常生活においてよりスマートでコネクテッドな体験を可能にする無限の可能性を提供する」と期待を示した。

新製品は3月11日~13日に独ニュルンベルクで開催された「embedded world 2025」で、実物がルーペ越しで展示された。