キヤノンは9月26日、次世代半導体製造装置であるナノインプリントリソグラフィ(NIL)装置「FPA-1200NN2C」を米国テキサス州の半導体コンソーシアム「Texas Instititute for Electronics(TIE)」に向け、初出荷したと発表した。

半導体露光装置では回路の微細化が進むごとに短い光源を利用するが、現在、7nm以下の先端半導体ではEUV露光装置が不可欠となっている。現在、EUV露光装置を生産しているのは蘭ASMLの1社のみとなっている。キヤノンもEUV露光装置の開発に取り組んでいたが、製造が極めて難しく、断念をした過去がある。

最先端露光装置への10数年ぶりの参入を目指す同社は、光を照射して回路を焼き付けるこれまでの投影露光技術と異なり、マスク上の微細な回路パターンを、ウエハ上のレジストにハンコのように押し付けるだけで回路パターンを再現できる「ナノインプリント技術」を用いた露光装置を開発。これにより、低消費電力・低コストで既存の最先端ロジック半導体製造レベルの5nmノードにあたる最小線幅14nmのパターン形成が可能となった。

「TIE」はテキサス大学オースティン校が支援する半導体研究コンソーシアム。2021年に設立され、州政府・自治体、半導体企業、国立研究所等で構成されている。同コンソーシアムではオープンアクセス化された半導体の研究開発、試作施設の提供を行い、先端パッケージング技術を含む先端半導体技術の課題解決に取り組む。キヤノンの「FPA-1200NN2C」は先端半導体の研究開発や試作に使用される予定となっている。