9月20日、米の半導体大手、Qualcommが同業で業績の低迷が続く米Intelに買収を打診したことが明らかになった。Intelの時価総額は約900億ドル(約13兆円)で、Qualcommの半分程度まで下落している。この買収が実現すればテクノロジー業界で過去最大のM&Aとなる。

Qualcommはスマートフォン向けの半導体に強みを持つ。最近ではより幅広い分野への進出を試みており、そこにはIntelが依然優位を保っているパソコン向け事業も含まれる。Qualcommは自社での生産を行っていないが、Intelを買収すれば、パソコン向け市場で最大のブランドを傘下に収めるだけでなく、自社生産の道も開けることになる。

関係者の話としては、現時点では「合意には程遠い」と伝えられる。仮にIntelが買収を受け入れたとしても、日本の独占禁止法にあたる反トラスト法に基づき、規制当局が買収を阻止する可能性がある。

また、Qualcommに次いで9月26日には、ソフトバンクグループ傘下で半導体設計を手掛ける英ArmがIntelの製品部門の買収を打診したことも明らかになった。これについてIntel側は「売却対象ではない」として拒否したと伝えられる。

ArmはIntelの製造部門には関心がないという。Intelは業績回復策の一環として、製品部門を製造業務から切り離す予定である。スマートフォン向け事業からパソコン・サーバーへと事業拡大を目指すArmがIntelの製品部門を買収すれば、Armの事業拡大に役立つとともに、自社製品販売に向けた動きに弾みを付けることができる。

ファウンドリ事業の不振と生成AI向け事業の遅れによる業績の低迷が続くIntelは開発中の18Aノードの2025年の生産開始を目指すなど、現状、自社のみでの業績回復の道を模索している。同社が他社からの買収の提案をすぐに受け入れるとは考えられないが、同社業績の先行きは不透明で、低迷が継続するようであれば、買収提案を受け入れる可能性もある。