オランダの半導体メーカー、Nexperiaは6月27日、SiCやGaNなどの次世代ワイドバンドギャップ(WBG)半導体の開発と生産設備の整備のため、独ハンブルグの工場に2億ドルを投資することを発表した。同時に、Siダイオードとトランジスタ向けのウエハ生産能力も拡張する計画である。

パワー半導体の長期的な需要の増加に対応するため、同社は2024年6月より、ハンブルグ工場でSiC、GaN、Siの全ての研究開発が行われることになる。特にSiCとGaNについては、電力消費の大きいデータセンターなどの稼働の高効率化をはじめ、再生可能エネルギーを用いるアプリケーションや電気自動車などの中核を成す素材であり、近年需要が急増している。

具体的には、高電圧GaN Dモード・トランジスタとSiCダイオードの生産ラインが2024年6月中に稼働済みである。続いて、SiC MOSFETとGaN HEMT(高電子移動度トランジスタ)向けの近代的かつコスト効率的な200mm生産ラインを今後2年間で建設する見込みである。同時に、8インチウエハへの計画的な転換により、Si生産能力の拡大と既存設備の自動化が可能となる。また、クリーンルーム面積の拡大に続き、将来的な研究から生産へのシームレスな移行を継続するため、新たなR&D施設が建設される。また、今回の投資により、雇用の確保と創出、欧州連合内における半導体自給率の向上に貢献するほか、大学や研究機関との連携により、高度な人材育成も可能となる。

同社のCOOを務めるAchim Kempe氏は「この投資は、高効率パワー半導体のリーディングサプライヤーとしての当社の地位を強化し、利用可能な電気エネルギーをより責任を持って活用することを可能にする」とし、「将来的には、ハンブルク工場はWBG半導体の全製品をカバーし、小信号ダイオードとトランジスタの最大工場となる予定である」と将来的な展望を述べた。

出典:Nexperia Press Release