半導体製造装置を手掛けるディスコは4月25日、2023年度通期の業績を発表した。これによれば、売上高は前年比8.2%増の3,075億5,500万円となった。また、営業利益は同10.0%増の1,214億9,000万円、純利益は同1.6%増の842億500万円で、増益増収となった。

スマートフォンやPC向けの半導体の需要が低迷するなかで、EVの急速な普及をはじめとする脱炭素化の進展を背景に、パワー半導体向けの精密加工装置の売上が好調であった。また、消耗品である精密加工ツールも顧客の設備稼働率に連動して上昇基調で推移した。

また、2024年第1四半期の見通しについても発表。売上高は前年同期比40%増の753億円、営業利益は同60%増の271億円、純利益は同49%増の189億円となり、第1四半期としては過去最高の業績になると予想した。パワー半導体の継続的な需要拡大に加え、生成AI関連の需要も拡大し、精密加工装置の売上が増加する見通し。発表では輸出分について、1ドル=145円を想定している。同社は製品の8割を輸出しており、1円の円安が営業利益を年約13億円押し上げる。4月29日には1ドル=160円を突破するなど急速に円安が進んでおり、同社の業績はさらに良化する可能性がある。

同社は半導体市況の変動が激しく予測が難しいとし、通期の予想については示していない。「パソコンやスマートフォン向けの本格的な需要回復は見えていない」としており、2024年度はパワー半導体向け及びAI向けの需要が同社の業績の中心となる見通しだ。

出典:ディスコ決算短信、四半期開示