韓サムスン電子は、2022年1月5日〜7日に米国で開催された、世界最大の家電見本市「CES」において、量子ドットフィルムを挟み込み、従来のOLEDと比較して色再現性を高めた「QD-OLED」パネルを搭載したテレビを発表した。これまで、テレビ用OLEDパネル市場は、そのほとんどを同じ韓国のLGディスプレイが寡占していたが、サムスン電子は「QD-OLED」パネルを持って反転の攻勢を仕掛ける。この「QD-OLED」パネルは早速、ソニーもフラッグシップモデルに採用して、同じく「CES」において発表している。QD-OLEDは「青色OLED+QDシート」の構造を採用し、青色OLEDパネルを発光させ、三原色のうち、青色はそのまま通し、緑色と赤色は青色光を量子ドットフィルターを通じて生成し、サブピクセル単位ではRGB発光となる。

 

サムスンはこの「QD-OLED」のメリットを以下のように述べる。

・色域。カラーボリュームはDCI-P3(米国の映画制作会社で構成される業界団体Digital Cinema Initiatives(DCI)で定められたデジタルシネマ規格)比で120%、色域はDCI-P3比で99%をカバー。
・平均輝度は1,000 nit、ピーク輝度は1,500nit、黒輝度は0.0005nit
・視野角が広く、65インチのディスプレイを60度の角度で見た場合、正面輝度の80%を確保する。この角度では液晶は35度しかない

一方、LG電子もこのままサムスンの攻勢を見ているだけではない。同社は次世代OLEDパネルの「OLED EX」を発表した。この「OLED EX」は、従来のOLEDと比較して、水素の2倍の重さを持つ重水素(水素原子6,000個に重水素原子1個)を水から取り出す方法を発見し、それを有機EL素子に応用したことにより、輝度を最大30%向上させた。更に、ベゼル(外枠)を従来は6mmだったものを4mmまで薄くし、よりコンパクトなボディに仕上げた。同社のオ・チャンホ副社長兼TV事業部長は、「2021年のグローバルテレビ市場は12%減少したにもかかわらず、OLEDの売上は70%の伸びを記録した。新しいOLED EXの技術、アルゴリズム、デザインの進化で、さらに革新的でハイエンドな顧客体験を提供することを目指している。」と述べた。