米ウォール・ストリート・ジャーナルは、NANDフラッシュメモリ世界第3位の米ウエスタン・デジタル(以下WD)が、同世界第2位のキオクシアを買収する交渉が大きく進展していることを報道した。この買収が成立した場合、200億米ドル程度の金額になると見られる。
キオクシア(旧東芝、東芝メモリ)は、WDに2016年に買収されたサンディスクと2000年から製造合弁会社を設立し、現在も主力工場である四日市工場を共同で運営するなど関係が深い。

キオクシアの最近の動向としては、2020年10月に東証1部に上場を予定していたものの、ファーウェイなど中国メーカーへのメモリ供給が米国の規制に阻まれて売上が低下し、延期した。
その後21年3月末には、米MicronやWDが買収に乗り出すという報道を今回と同じウォール・ストリート・ジャーナルが行った。
その後、朝日新聞が7月に、9月に上場予定と報じたが、現在までまだ上場の再発表はない。

度重なる買収報道には、東芝の車谷前社長が20年に発表した、東芝の株主還元のためにキオクシア株を売却する狙いが関係していると見られる。キオクシアの株式比率は、その東芝が約40%を保有し、米ベインキャピタルとSKハイニクス連合ファンドが55%強の株式を握るという不安定な状況である。その中で半導体産業にとって圧倒的な好機が到来している2021年、NANDフラッシュも例外でなく、TOP3のSamsung、キオクシア、各社ともに直近の売上は増加し、今後の見通しも明るい中、この時期は買収の好機だと見られる。

半導体業界では寡占化が進んでおり、先端ロジックではEUV露光装置に投資が出来る台TSMC、韓Samsung、米Intelに絞られ、DRAMでは韓Samsung、米Micron、韓SKハイニクスの3社で寡占が進み、NANDもSKハイニクスがIntelのNAND部門を買収するなど、プレイヤーが絞られる傾向が強まっている。