経済産業省は2026年3月18日、人工知能(AI)や半導体に関する成長戦略の改定骨子案を発表した。ロボットや機械をAIが自律制御する「フィジカルAI」を重点分野として位置付け、関連産業やインフラなどを含む一体的な産業競争力の強化を目指す。具体的には、AIに使用する最先端半導体の製造能力の向上やデータ連携基盤の強化などに取り組む。今夏の改定を予定する。

政府は「半導体・デジタル産業戦略」を2021年に策定していた。当時はコロナ禍のロックダウンの影響などによる半導体不足、米中対立の激化、デジタル産業における日本の遅れを理由とした半導体産業の国内回帰を目指したもので、台TSMCの誘致やDX人材の育成などを掲げた。同戦略は2023年に一部改定され、経済安全保障と成長戦略の統合を掲げ、Rapidusの設立と先端半導体の国産化とAIの位置付けの「国家競争力の源泉」への格上げなどが掲げられた。今回、AIの技術革新の想定以上の加速を受け、同戦略も更なる改定へと至った。越智俊之経産大臣政務官は「産業構造の変化を踏まえ、戦略を適切にアップデートすることが必要だ」とし、「AIと半導体を個々の政策課題として捉えず、一貫性のある産業戦略に再構築する」と述べた。

新戦略では大きな方向性として、米中と並ぶシェア獲得を目指すフィジカルAIを中心に位置付け、新たなデジタルサービスの創出を促すことにより、最先端半導体の国内需要拡大に繋げる。また、最先端半導体の国産化を目指すRapidusに対する支援の強化、実装先のニーズに合わせた半導体の設計能力の強化を掲げる。なお、フィジカルAIに関しては、2040年に世界シェア3割超で20兆円の市場獲得、国産半導体は同年に国内での売上高を40兆円に引き上げる目標を掲げている。

政府は「危機管理・成長投資」を進める戦略分野としてAIや半導体を指定、現在、高市早苗首相が議長を務める「日本成長戦略会議」が中心となり、官民投資促進に向けた工程表の検討が進む。新戦略もこれと足並みを揃えた形となる。

出典:経済産業省 第三回有識者会議 事務局説明資料