三菱ケミカルグループは2025年12月11日、コーポレートベンチャーキャピタル子会社の米Diamond Edge Venturesを通じ、米Boston Materialsに戦略的追加投資を実施したと発表した。これにより、同社との関係を更に強化し、高性能コンピューティング・AIサーバ・次世代半導体デバイス向け先進熱界面材料(TIM:高熱伝導性サーマルインタフェースマテリアル)の共同開発と事業化に向けた協業を開始する。具体的な投資額については開示されていない。

Boston Materialsは米マサチューセッツに拠点を置く先進材料ベンチャー企業。炭素繊維を垂直方向に配列し、独自の液体金属合金と組み合わせることで、過酷なデータセンター環境においても高い熱伝導性と信頼性を実現する基盤技術を開発している。同社の技術は、AIやクラウドインフラ向けの高容量・高周波半導体デバイスの性能向上に寄与し、次世代半導体デバイスに不可欠な熱マネジメントシステムを実現するという。三菱ケミカルグループは同グループの持つ素材技術とBoston MaterialsのTIMを組み合わせ、熱マネジメント技術を事業化するため、2021年からBoston Materialsに戦略的投資を実施していた。

今回の戦略的追加投資により、Boston Materialsの熱マネジメント基盤技術と、三菱ケミカルグループの炭素繊維・PETフィルム・コーティング・先進材料試験等の技術を組み合わせることで、高付加価値分野におけるTIMの開発を加速する。加えて、三菱ケミカルグループの研究開発施設や事業ノウハウを活用することで、特にアジア地域における顧客開拓やアプリケーション開発を強化する。

Boston Materialsの創業者兼CEOのアンヴェシュ・グリジャラ氏は、「三菱ケミカルグループとの提携により、世界トップクラスの材料技術とグローバルな事業基盤を活用し、次世代TIMの開発を加速する」と意気込んだ。

Diamond Edge VenturesのCEOのカーティス・シックナー氏は、「熱マネジメントは、先進的な半導体デバイスにおける最重要課題の一つだ」とし、「その課題に対し、Boston Materialsは独自のアプローチを有しており、今回の当社の投資は、長期的かつ深い技術パートナーシップの始まりを意味する」と述べた。