1月10日、半導体受託生産最大手、台湾・TSMCの米アリゾナ州の新工場「Fab21」で、既に4nmチップの生産が始まっていることがロイター通信の報道により明らかになった。

米商務省のジーナ・レモンド長官はロイターのインタビューで、「我が国史上初めて、米国の労働者によって台湾と同等の歩留まりと品質で4nmの最先端半導体を製造している。これは米国史に前例がない大変な出来事で、多くの人があり得ないと言っていたことだ」とコメントした。

今回生産が開始された4nmチップは米国顧客向け。詳細は正式には明らかになっていないが、「Fab21」では少なくとも3つのモデルが生産されているという情報がある。1つ目は米AppleのiPhone 15、iPhone15 Plusに使用されているSoCの「A16 Bionic」、2つ目はAppleのスマートウォッチ向けSiPの「S9」のメインプロセッサ、3つ目は米AMDのRyzen 9000シリーズであるという。

なお、TSMCはアリゾナ州で、2028年に2nmプロセスでチップを生産する第2工場の操業を開始するとしているほか、2030年までに1.6nmノードでチップを生産する第3工場を設置する予定である。こうした計画に対し、米商務省はCHIPS法に基づき、昨年11月にTSMCに対し66億ドルの助成金と最大50億ドルの融資をすると既に発表している。

レモンド長官は、2030年までに世界で生産される最先端ロジック半導体の20%を米国産が占めるようにしたいと、今後の目標を掲げた。