半導体の組立、検査(OSAT)最大手の台湾・ASEは7月31日、工場建設を視野に福岡県北九州市若松区の市有地約16万平方メートルを取得すると発表した。同日、北九州市と土地売買の仮契約を結んだ。取得金額は約34億1,500万円。

同社は半導体のOSATを担う「後工程」の世界最大手で、米Appleなどを主要顧客に持つ。台湾・高雄市に本社を置く。2004年に日本法人を設立し、山形県東置賜郡高畠町に工場を持つ。

同社によると、「将来の市場のニーズに対応し、生産能力の拡張に備える」ため、新工場を建設する方針を決めた。同社呉田玉最高執行責任者(COO)は6月の株主総会後に、海外各地での生産拠点の分散に取り組むと述べていた。但し、同社は工場の建設スケジュールや生産品目については触れていない。

北九州市は半導体産業を集積した「シリコン・シティ」を目指し、半導体関連企業の呼び込みに力を入れている。今回の市有地については、元々台湾の「前工程」大手、PSMCの誘致を目指していたが、PSMCが昨年10月に、工場建設地を宮城県に決定したため、方針を転換。ASEに声をかけたところ、興味を示してくれたのだという。なお、九州には「前工程」の世界最大手である台湾・TSMCが熊本県に工場を展開している。両社はかねてから協力関係にあるため、今後日本においても連携する可能性がある。