韓国・SK Hynixは4月19日、次世代HBM生産と先端パッケージング技術の強化を目的に、台湾・TSMCと協業すると発表した。両者は2026年に量産開始予定の次世代HBM4を開発する計画である。SK Hynix製HBMの最大供給先はAI半導体最大手の米・NVIDIAであり、協業によって三角編隊を組み、相乗効果を生み出そうという構えだ。 

 HBMを使用するAI(人工知能)チップの性能が高度化する中、電力消費を減らし、データのボトルネック現象を減らすことが最大の課題となっている。 

 両社はまず、HBMパッケージ内の最下段に搭載されるベースダイの性能改善に取り組む。HBMはベースダイの上にDRAM単品チップであるコアダイを積み上げた後、これをTSV技術で垂直連結して作られる。ベースダイはGPUと連結され、HBMをコントロールする役割を果たす。HBM3Eまでは、SK Hynixが自社生産したDRAM工程でベースダイを作ってきたが、HBM4からはTSMCの超微細ロジック工程を活用し、様々なシステム機能を追加する計画である。これにより、性能や電力効率など、顧客の幅広いニーズに応じた製品を生産できるようになる。 

 また、これまでは韓国でSK Hynixが製造したHBMを台湾のTSMCの工場に送り、TSMCがNVIDIA GPUにHBMを結合させていたが、HBM4では顧客はSK HynixからパッケージングされたHBMを直接受け取ることが可能となる。 

 加えて両社はSK HynixのHBMとTSMCの先端パッケージング技術「CoWoS」による結合を最適化するために協力することで顧客のニーズにともに対応していくとしている。 

 なお、TSMCが2021年に米・アリゾナ州に半導体受託生産工場2カ所の建設に着手したのに続き、SK Hynixも2024年4月に米・インディアナ州にパッケージング工場を建設すると発表している。両社の米国の工場が完成すると、米国内でNVIDIA向けHBMの設計から生産、パッケージングまでが可能となる。SKハイニックスは、「顧客-ファウンドリー-メモリーにつながる3社間の技術協力を基にメモリー性能の限界を突破するだろう」と3社の協力関係に自信を示している。 

 一方、韓国では最大手であるSamsung Electronicsも米・テキサス州に最先端の半導体工場の建設を発表している。こちらはパッケージングまで一貫した生産を可能にする計画だ。AIの普及と米国の経済安全保障政策を背景とした米国内での半導体競争は一層激しさを増すばかりである。 

出典:SK Hynix NEWS ROOM