半導体受託製造最大手の台湾・TSMCと九州大学が、半導体関連人材の育成と共同研究を目的とした包括的連携の覚書を4月にも締結することが3月31日に明らかになった。TSMCが九大に社員を講師として派遣するほか、先端技術の研究で協力することを目指す。TSMCの熊本進出が明らかになって以降、国内の大学と覚書を結ぶのは初めてとなる見通し。

九大が2023年6月に大学院に設置した「価値創造型半導体人材育成センター」へTSMCが社員を講師として派遣し、学生を指導するほか、TSMCと九大による共同研究で、最先端技術に関する論文の共同執筆を目指す。また、TSMCの台湾拠点にインターシップとして学生を派遣する計画もある。なお、経済産業省が2月に認定した、TSMC熊本第2工場整備計画にも、九大での半導体カリキュラムの提供が盛られている。

産官学で構成する「九州半導体人材育成等コンソーシアム」は2023年3月、九州では今後10年で年間1,000人規模の半導体人材が不足するとの予測を示しており、九大は先端技術を備えた人材を供給しようという構え。一方のTSMCは予定されている熊本第2工場の建設に備えて、不足する半導体人材を確保しようという狙いである。