ロイター通信は、2024年3月18日、ファウンドリ世界最大手であるTSMCが、生成AI向けチップ生産に不可欠な先端パッケージ生産拠点を日本国内に導入する検討をしていることを報道した。報道では、製造装置や材料メーカーが集積することから日本が候補地として検討されているという。

TSMCでは、先端パッケージの研究開発拠点として、2022年6月に茨城県つくば市に3DIC研究開発センターを開設した。その後、韓Samsung Electronicsも5年間で400億円を投じて2023年12月に横浜に先端パッケージングの研究開発拠点を開設する旨を発表した。

その他にも、イビデン、新光電気工業を中心に先端パッケージ向けのパッケージ基板生産拠点が集積していることや、レゾナックが中心となり13社で次世代パッケージングの共同研究を進めている「JOINT2」や、東工大の栗田洋一郎氏が研究推進者となり、アオイ電子、アピックヤマダ、アルバックなどが参加する「チップレット集積プラットフォーム・コンソーシアム」、横浜国立大のHIYAと大阪公立大学の3DPIが合併し設立され、60社以上の半導体材料・装置・デバイスメーカが参画する「3DHI」、大阪大学の「フレキシブル3次元実装コンソーシアム」などが存在しており、日本は先端パッケージ開発の一大集積拠点となっている。

一方、これまでのパッケージング工場は、人件費が安価であることから、中国、東南アジア、台湾を中心に生産が行われてきた。日本は装置や材料企業が集積しているものの、先端パッケージの生産拠点としてはごく一部にとどまっている。

しかし、先端パッケージの分野においては、これまでのパッケージング工程と比較しても付加価値が高く、日本の人件費も(現在急速に上昇しているが)歴史的な円安によって安価になってきたことで、人件費を気にする必要が無くなった。

もしTSMCが国内に拠点を設けることになれば、SamsungやIntelといったメーカ、そして今後4年間で350億円もの投資を行い、先端パッケージの国内量産化を目指すアオイ電子をはじめとした国内企業にも動きが波及することが期待される。