三菱電機は2月28日、保有するルネサスエレクトロニクスの株式をすべて売却すると発表した。売却益は1,093億円となり、2024年3月期の個別決算で特別利益として計上する。政策保有株式を減らし、売却によって得た資金をデジタル分野などの戦略投資に回す。なお、同社の連結決算は国際会計基準に基づいているため、投資有価証券売却益の計上はなく、同期の連結業績予想に与える影響はないとしている。

ルネサスは2010年4月、三菱電機と日立製作所の半導体部門の統合会社「ルネサステクノロジ」と、NECの半導体部門子会社「NECエレクトロニクス」が統合して成立した。業績悪化から2013年9月にはINCJ(旧産業革新機構)が69.1%の株式を取得して実質国営化されたが、ルネサスは大規模リストラを含む構造改革により経営を再建し、2023年にはINCJが同社全株式の売却を完了した。さらに2024年1月にはNECと日立製作所も保有株をすべて売却している。今回の三菱電機の株式売却により、ルネサスは旧親会社との資本関係が完全に解消されることになる。

三菱電機は2023年12月末時点で政策保有株式を190銘柄保有していたが、資本効率の向上を図るため、保有することによる後押し要因がない株式について売却を進めている。2024年3月期はルネサス株を除き、政策保有株式を上場株、非上場株あわせて50銘柄程度、約450億円売却する見込みとなっている。

出典:三菱電機 ニュースリリース