米半導体製造大手のIntelは12月14日、新型のモバイル向けCPU「Core Ultra」プロセッサーを発表した。AI処理に対応したプロセッサーで、生成AIでは従来の約1.7倍のパフォーマンスを発揮するとしている。既にOEMや各PCメーカーに向けて出荷を開始しており、それらのメーカーが提供する230機種以上のAI PCに搭載される見込みである。

現代社会では、AI機能を搭載した様々なアプリケーションがあらゆる場面で使用されている。こうしたAI機能を利用するには従来のプロセッサーを搭載したPCでは処理能力が不足し、消費電力も大きいため、これらを解決する新たなプロセッサーを搭載したAI PCが待望されていた。

「Core Ultra」はコンピュートタイルに最新の「Intel 4」製造プロセスを採用しており、EUV露光により従来のIntel 7の高性能ロジックライブラリと比較して2倍のエリアスケーリングを達成しつつ、電力効率は20%以上向上した。また、「Foveros 3D」という高度なパッケージング技術を使用しており、4つのシリコンダイを1つのパッケージに搭載している。

一方、設計としては、新しいEコアと低消費電力のEコア(LP Eコア)それぞれ独立させたコンピュートタイルを採用し、エネルギー効率に最適化しバックグラウンド実行のタスクに最適なローパワーアイランド、機能別に細分化され、それぞれに最適な製造プロセスを採用する「3Dパフォーマンスハイブリッドアーキテクチャ」を実現した。これにより、同じような電力消費の環境下では、競合の「Ryzen 7 7840U」と比較して11%高速となっている。一方、ビデオ再生といった低負荷時は、「LP Eコア」を駆使することで、従来の「Core i7-1370P」と比較して消費電力を25%削減。競合の「Ryzen 7 7840U」と比較すると、Windowsデスクトップでのアイドル状態では実に79%も電力が削減できるという。

また、CPUとGPUの性能も従来製品、競合製品と比較して向上しており、AI処理が可能なのに加え、AI処理に特化したNPU「Intel AI Boost」を搭載しており、これがCPUとGPUの処理を補完することで、前世代に比べて 2.5 倍の電力効率を実現するとともに、オフライン状態のノートPCでもAIアプリケーションを利用できるようになる。

なお、2024年には100社以上のAIソフトウェアパートナー、300以上のAIアクセラレーション機能が対応する見込みで、これは競合他社の3倍となる。同プロセッサーを搭載したノートPCは既に一部のメーカーから発売開始されており、今後続々と搭載機種がリリースされる。