ニコンは、2021年に開発を発表していた半導体製造に使う新型露光装置「NSR-S636E」を2024年1月に発売すると発表した。回路パターン微細化と半導体デバイス構造の三次元化に対応し、光源に「フッ化アルゴン(ArF)」を使ってウエハ上に回路を形成する。同社市場最高の生産性かつ重ね合わせ精度とスループットを高レベルで両立したクリティカルレイヤー向けの露光装置となる。

同装置では、露光前にウエハの多点計測を行うインラインアライメントステーション(iAS)の計測精度を向上させたことにより、従来よりもウエハの反りや歪みをより高精度に計測・補正できるようにしたことで、高い重ね合わせ精度(MMO≦2.1nm)を実現した。また、スループットを1時間あたり280枚(96shot)に向上させるほか、ダウンタイムの低減などにより、現行機種比で総合的な生産性を10~15%改善した。

同装置は、三次元半導体をはじめとする、高い重ね合わせ精度が要求される半導体の製造プロセスにおいて生産性を損なうことなく優れたパフォーマンスを発揮するモデルであり、回路線幅が微細なメモリ半導体やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーの製造に使用される。なお、回路線幅は14ナノメートル世代以下の先端半導体が対象となる。