半導体受託生産の世界最大手、台湾・TSMCが熊本県で回路線幅が6nmの先端半導体の生産を計画していることが10月13日に明らかになった。同県に建設を検討している第2工場で生産する見込み。同工場の総投資額はおよそ2兆円となり、経済産業省は最大9千億円規模の補助金による支援を検討している。政府は今月中にまとめる経済対策にTSMCの新工場を含めた半導体支援策を盛り込む予定である。

同社の第2工場をめぐっては、6月に同社幹部が熊本に建設する計画を表明し、「日本政府と交渉中」であるとしていた。政府による巨額の補助金が前提条件となっているものと見られ、この度、補助金を受ける目途が立ったことで、具体的な計画に移ったものと見られる。

半導体は回路の線の幅が細いほど性能が高く、生産の技術的な難易度が高い。6nmノードで生産されたチップは、ハイエンドからミッドレンジのスマートフォン、人工知能(AI)や5Gインフラなどに応用される。そのため、第2工場の計画が実現することで、半導体の生産拠点として熊本の存在感が一段と高まることが期待される。なお、現在建設中の第1工場では、主に車載半導体向けに10/16nm及びソニーのCMOSイメージセンサー向けロジック半導体向けに22/28nmノードのチップを生産する予定である。