9月5日、旧日立製作所系で半導体製造装置メーカーのKOKUSAI ELECTRICが10月にも東京証券取引所に上場すると、日本経済新聞社が報道した。上場時の時価総額は4,000億円超を超えるとみられ、新型コロナウイルス禍後最大の新規株式公開(IPO)となる見通しである。

同社は米投資ファンドKKRが買収した日立国際電気が2018年に半導体製造装置部門を分社する形で誕生した。半導体ウエハの成膜装置を主力とし、数十枚のウエハを同時に成膜できるバッチ式装置の縦型CVD装置で世界トップレベルのシェアを誇る。

同社は経済安全保障を背景とした世界各社による半導体の大型投資の流れを受け、4月に富山県砺波市に新工場を着工し、同社過去最大規模の240億円を投資するなど、製造能力拡大のための投資を展開しているが、攻めの投資を続けるには非公開会社では限界もあった。上場により、資金調達の選択肢を増やそうという狙いである。

同社の上場に関しては、2019年に米アプライドマテリアルズが買収することに合意していたが、競争法に絡み、中国当局からの承認が下りず2021年3月に破談となった。それに続き、2022年春には上場寸前だったところ、半導体市況が変わったことで上場を見送っていた。しかし、今夏以降、半導体市況の回復の兆しが見えたことで今回の決断に至ったとみられる。

半導体の長期的な需要増加が見込まれることから、同社への成長の期待も大きい。今後は上場による多方面からの資金調達を受けることで、研究開発の強化にも期待がかかる。