浜松ホトニクスは光半導体製品の需要拡大に対応するため、本社工場(静岡県浜松市東区市野町)に光半導体製造(前工程)を担う新棟を建設することを決め、7月に着工した。新棟は地上4階地下1階で建物面積は3,083m²、延床面積は1万0,960m²であり、総工費は約370億円となる。2025年6月に竣工し、同年12月の稼働を予定している。

同社は医療や産業、自動車などの様々な分野に光半導体製品を供給している。今後、光半導体の更なる需要が見込まれることから、新棟を建設し、前工程の生産能力を増強する。

新棟建設により、生産スペースを従来の2倍に拡張し、従来の6インチシリコンウエハの生産ラインに加え、8インチ対応の製造ラインを採用することで、生産の継続性担保、生産能力の向上とコストダウンを図る。さらに、新棟と既存棟をクリーンルーム内で接続し、人や物の移動を効率化するとともに自動搬送システム導入により自動化及び省人化を進める予定である。新棟では8インチウエハ換算で月8,000枚の生産が可能となる見込みである。

同社の丸野正社長は「当社にとってフラッグシップとなる建物」であるとし、新棟が稼働すると、「およそ10年先までの受注をこなせる」と自信を示した。

なお、同社は新貝工場(浜松市南区新貝町)に後工程を担う新棟も建設しており、光半導体製品の全体的な生産能力拡大を図る構えである。