オランダ政府は、2023年6月30日に中国を念頭に置いた新たな輸出規制を発表した。

オランダ政府発表の官報によると、新たに発表された輸出規制の詳細は以下のようになる。

【露光装置】

① 光源の波長が 193 nm より短いこと。

②光源の波長が193nmより長くても、以下の2点を満たしている装置

a. 45 nm以下の「最小解像可能フィーチャーサイズ」(MRF)を有するパターンを生成できること。
b. 「専用チャックオーバーレイ」(DCO:同じリソグラフィシステムでウェーハ上に露光された既存のパターン上に、新しいパターンをアライメントする際の精度の度合いを示す。)の最大値が1.50 nm以下であること。

【ALD装置】

①以下の2つを満たす装置
a. 1つ以上の金属ソースがあり、そのうちの1つはアルミニウム(AI)出発材料用に開発されている「プリカーサ」。
b. 45℃を超える温度に設計されたプリカーサをチャンバに排出する容器を持つ装置。

②以下の2つの特性を備えた「最小励起仕事関数」金属の成膜用に設計されている装置

a. 炭化チタンアルミニウム(TiAlC)を蒸着可能な装置。

b. 4.0eVより高い「仕事関数」が可能なもの。

【エピタキシャル成長装置】

①シリコン(Si)、炭素ドープシリコン、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭素ドープSiGeのエピタキシャル成長用に設計された装置で、以下の全ての性質を持つもの

a. 複数のチャンバーと、工程間に高真空(0.01Pa以下)または不活性雰囲気(水と酸素の分圧が0.01Pa以下)を維持する手段を持つ装置

b.ウエハ表面洗浄を目的に設計された少なくとも1つの前処理チャンバーを持つ装置

c. エピタキシャル成長温度が685℃以下の装置。

その他にも、輸出規制対象装置(材料)にはペリクルやペリクル製造装置も含まれている。

これらの規制は、2023年9月1日から規制される。
露光装置はASMLを、ALD装置とエピタキシャル成長装置はASMIを念頭に置いているとみられる。
日本政府の輸出規制発表後、同じくシェアを多く持つ米、蘭も規制を相次いで強化する方向で進んでいる。米国政府は自国製部品を使った半導体装置の中国輸出を禁止する規制案を7月中に公開する予定としている。