タカノと長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門は6月15日、シリコンウエハ上に微細パターンのめっきが可能となる、新たな表面処理技術を開発したと発表した。

シリコンウエハ上に形成される半導体デバイスやセンサーデバイスでは、配線や表面保護のため、シリコンウェハ表面へのめっきが必要となる場合があるが、シリコンは難めっき材料であるため、従来の技術ではめっきパターンの微細化には限界があった。

新たに開発されためっき技術では、シリコンウエハ表面上に配線用合金層などをつくる際の合金阻害プロセスなどを工夫することにより、従来の技術で必要だったシリコン表面の酸化膜の除去などの前処理が不要になったうえ、狙った場所に正確にめっきをすることができる。同技術により、従来の5分の1~10分の1程度である約1マイクロメートル以下の細さでめっきが可能になった。

また、同技術によってシリコンの微小な立体構造物の側面にめっきすることにより、機械的な強度を飛躍的に向上させることも可能になる。折れて壊れる際の耐性を示す「耐折損強度」は従来の3倍以上となっており、近年の半導体の微細化のデメリットであるシリコン自体のもろさについてもカバーすることができる。

同技術は特許を出願しており、両社は今後、技術の高度化を進め、まずは加速度センサーなどに使われるMEMS(微小電子機械システム)向けの技術として実用化を目指していく。