2023年5月30日、横浜国立大学 工学研究員の井上史大准教授は、ディスコ、東レエンジニアリングと共同で直接接合技術を用いた、新しいチップ仮接合および剥離技術の開発に成功したことを発表した。(下図)

この研究では、新たに開発されたCVD絶縁膜を用いて、チップをウエハ上にプラズマ活性化ダイレクトボンディング仮接合する方法が示され、ボンディング中のダイのずれのリスク軽減が可能となった。これによってDie-to-Waferの「ハイブリッド接合」を可能とし、仮接合による材料の加工時間、材料損失を削減し、低コスト化が実現可能になるとしている。

具体的には、仮接合プロセスにおけるキーポイントを、低温で堆積されたSiO2膜による意図的なボイドの形成と制御された接合エネルギーとし、これらを達成するための表面粗さ、膜組成、機械的特性、プラズマ活性化の影響を詳細に調査したという。さらにメカニズム解明のために界面解析(例:無水雰囲気でのボンディングエネルギー測定、界面空孔検査、TEM分析)を実施。結果、TDS(昇温脱離ガス分析)と陽電子消滅分光法(PAS)の組み合わせにより、低温で堆積されたSiO2には多くのオープンスペースと水が内部に含まれており、これが水の貯蔵層として機能し、ポストボンドアニール中に放出される可能性があることが明らかになりました。これによって熱剥離が可能となり、非常に低い力で簡単にウエハとチップが剥離可能であるということを明らかにした。

今回の研究結果によって、歩留まり、ボンディング位置合わせ精度の向上や、コスト削減を伴う高度な異種3D集積を達成することが出来るとしている。