株式会社ノベルクリスタルテクノロジーは、酸化ガリウム(β-Ga2O3)ショットキーバリアダイオード(SBD)の実機動作確認に成功したことを発表した。

同社では、今回開発した酸化ガリウム SBD(図1)を高出力(350 W)電源のPFC回路(図2)に搭載し、電流連続動作の実証試験を行った。

図3は電源動作時の酸化ガリウムSBDとSi FRDの電流ICA(青い線)と電圧VCA(赤い線)の時間変化を示したものになる。

縦軸の1マスは、電流については2 A、電圧は100 Vとなる。図3のダイオードの電圧波形より、逆方向には390 Vの電圧が印加されていることが確認できる。その後、逆方向から順方向に電圧が切り替わると、ダイオードの順方向に電流が流れる際の電流波形ICAは最大で8 Aの台形波となっており、電流連続動作の確認が出来ている。図4は酸化ガリウム SBDとSi (シリコン)FRD(ファストリカバリーダイオード)の逆回復リカバリー特性をそれぞれ示したものとなるが、赤い線(VCA)がダイオードに印加される電圧を示し、青い線(ICA)がダイオードを流れる電流を示している。

酸化ガリウム SBDとSi FRDのそれぞれのグラフの中央から左側が、電圧を順方向に印加したときの電流が流れている状態を示したもの。中央から右側が電圧を順方向から逆方向に切り替えたときの電流が流れにくくなる様子を示したものとなる。Si FRDに比べてβ-Ga2O3 SBDの逆回復リカバリー電流が大幅に抑制されていることが確認出来る。

これらの動作確認を行った後、回路の入力電力に対する出力電力の割合(電力変換効率)を比較したところ、β-Ga2O3 SBDはSi FRDよりも1%効率が改善されていることが確認されたという。

今回の実機動作による確認は、中耐圧(600-1200 V)のβ-Ga2O3 SBDがパワーエレクトロニクス機器に採用されるための大きな実証事例になり、量産へ向け弾みがついた形となる。
今後同社では、今回開発したβ-Ga2O3 SBDを4インチファウンドリラインで製造プロセス確立を進めていくという。

 

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