東芝は2021年11月12日に、事業を3社に分割、再編することを発表した。中核事業を再生エネルギーを中心とし、AIや量子暗号技術といった次世代テクノロジーも含む「インフラサービスCo.(インフラサービスカンパニー)」と半導体などの電子デバイス、コンポーネンツ事業を行う「デバイスCo.(デバイスカンパニー)」の2社に分割する。この2社にキオクシアホールディングス、東芝テックの株式を保有する東芝を加えた3社による事業体制とする。インフラサービスCo.とデバイスCo.はそれぞれに上場企業とし、現在の東芝の株主はそれぞれの株式を取得する。また、キオクシアについては、全株式を売却する方針である。
今後は2023年度下期には分割、企業上場を完了することを目標としている。
デバイスCo.の売上高は2021年度で8,700億円が見込まれる。売上高のうち、半導体(キオクシアからのメモリ転売分を含む)が41%、HDDなどの部品、モジュール、半導体製造装置(ニューフレアテクノジー事業)が59%を占めている。2023年度には売上高を、メモリ転売分以外で8,800億円にまで拡大する計画である。
半導体分野ではパワー半導体事業に注力する。Siパワー半導体の300mmウェーハ処理能力の強化、SiC、GaNなどの化合物半導体の技術開発の促進、大口径化/モジュール化を進めることによる量産能力の拡大を進める。これらの施策により、パワー半導体の売上高を2021年度の950億円から2023年度には1,200億円にまで拡大する計画である。
デバイスCo.の設備投資額は2021年度から2023年度で1,880億円を計画している。パワー半導体では、300mmウェーハ対応ラインの新設、200mmウェーハ対応ラインの増産対応に2021〜2022年度で760億円の投資を予定している。SiC、GaNでは大口径化、能力増強に向けての投資を行なっていく。
また、同期間には研究開発費として1,530億円の投入を予定している。Siパワーデバイスの高効率パッケージ開発、ラインナップの充実、化合物半導体では高耐圧SiC開発、GaN製品化加速、次世代マルチビーム・マスク描画装置の開発に力を入れていく。