ミネベアミツミは2021年10月1日、オムロンから野洲工場内の半導体・MEMS工場およびMEMS製品開発機能を譲り受け、同日付で新会社として設立したことを発表した。具体的には、オムロンが半導体・MEMS工場、MEMS製品開発機能を会社分割で設立した滋賀セミコンダクター株式会社に承継し、同社株式をミネベアミツミの子会社ミツミ電機に譲渡した。ミネベアミツミは子会社化するとともに社名をMMIセミコンダクター株式会社とした。
滋賀セミコンダクターの半導体・MEMS工場は、現在MEMS製品を主に生産しているが、アナログICを生産可能な200mmウェーハ対応の半導体前工程を有しており、今回の工場取得により、MMIセミコンダクターは生産能力に加えて、プロセス、保有技術、規模、オペレーターのスキルなどを含む200mmウェーハの生産基盤を獲得することになる。
ミネベアミツミは工場取得後、能力拡大のためにまず100億円超の設備投資を行い、同工場において月産約2万枚の200mmウェーハ生産体制を構築する。なお、今回の工場取得は、経済産業省のサプライチェーン補助金に採択されており40億3,000万円が供与される。同補助金は今回の設備投資に含まれている。
その後も、対象会社工場には更なる拡張余地があるため、需要などに応じて能力を拡大していく。これにより、ミネベアミツミグループにおける半導体前工程の新たな中核工場に育成、アナログ半導体の国内供給体制の強化にも貢献し、2025年度に約250億円の売上を目指す。
また、MMIセミコンダクタ—は、幅広いMEMS製品の設計技術と周辺技術を保有することになり、これらの技術とミネベアミツミの持つMEMSセンサ製品技術の融合により、新製品開発によるラインナップ増強、既存製品の高性能化、機能追加等のシナジーも期待できる。特に、血圧計用のMEMS圧力センサは新会社とミネベアミツミの双方が強みを持つ分野であり、新しいニッチトップ製品として競争力を高めていく。さらに、このMEMSセンサ事業の取得は、重点戦略分野の一つであるセンサ事業の強化につながるものであり、血圧計以外のMEMS製品にも今後力を入れていく方針である。