経済産業省は、ポスト5Gに向けた新たな情報通信技術の開発のため、新たに研究テーマを採択し、約100億円を出資する。

この情報通信システムの開発では、ポスト5G情報通信システムのうち、モバイルエッジコンピューティング(MEC)に必要となる半導体関連技術の開発を実施する。
具体的には、MECを用いた低遅延処理の実現に向けて、最先端のプロセスノードを適用した大規模先端ロジック半導体の設計技術を開発するとともに、大容量・広帯域なメモリシステムを開発するという。

詳細な内容は以下の通りとなる。

1.情報通信システムの開発(MEC) 採択テーマ概要

テーマ「スケーラブルな大規模先端SoC設計技術の研究開発」
実施者:株式会社ソシオネクスト

概要:MEC向け大規模先端ロジックチップ開発の設計技術として、マルチチップ搭載可能な「大型チップレットパッケージ設計技術」、AI処理システム構築可能な「AI搭載スケーラブルなマルチチップ設計技術」、短期間で効率的に開発する「AI処理を使った 大規模先端SoC設計技術」および、上記技術と先端プロセスを使った「SiP、3nm、7nmチップレット実証チップ」の開発を行う。

テーマ:「広帯域大容量フラッシュメモリモジュールの研究開発」
実施者:キオクシア株式会社

概要:ビッグデータ増大に耐えうる高性能なMECサーバには、メモリの大容量化と広帯域化が必要不可欠である。 デイジーチェーン技術・プリフェッチ技術・メモリ高速IF技術・高精度設計技術を用いた、広帯域大容量 フラッシュメモリモジュールの研究開発を行う。

テーマ:低ノイズ、高精度、高周波差動出力水晶発振回路の研究開発
実施者:セイコーNPC株式会社

概要:厳しい環境下の5G基地局においても低ノイズで安定 な基準クロック出力を可能にする半導体チップを開発する。

テーマ:MECサーバーの低消費電力化のための低電力ベクトル プロセッサの研究開発
実施者:日本電気株式会社

概要:MECサーバー向けに、AI処理機能等を高速化するマイクロ アーキテクチャ、及び高精度な電力制御機能を開発し、MEC サーバー向けの低消費電力ベクトルプロセッサの基盤技術を確立する。

2.先導研究 採択テーマ概要

テーマ:半導体プロセス1.5nmノード以降の不揮発性 MRAMの微細加工基盤技術の研究
実施者:東京エレクトロン株式会社(共同実施先 東北大学)

概要:超高密度MRAMの革新的微細加工基盤技術を開発する。

テーマ::超高速・超微細加工を実現する深紫外 レーザー技術
実施者:株式会社創晶超光

概要:レーザー損傷耐性の高いCLBO結晶を開発し、 超微細レーザー加工技術を確立する。

テーマ:半導体チップのマストランスファー実装技術の研究開発
実施者:東レ株式会社

概要:通信用半導体の高性能化に向けた、新規実装技術 のプロセス・材料を開発する。

テーマ:ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度 3D実装技術の研究開発
実施者:株式会社ダイセル(共同実施先 大阪大学、北海道科学大学)

概要:低温低圧焼結Cuバンプ接合、サブストレイト基板の高信頼化技術、 樹脂基材への サブミクロン配線形成技術、高周波パッケージ 導波路コネクタ 技術を開発する。

テーマ:ポスト5G、AI対応先端大規模LSIモジュール向け微細穴加工技術の研究開発
実施者:ギガフォトン株式会社(共同実施先 早稲田大学)

概要: 紫外域回折光学素子を使った多点同時加工の実証 とアブレーション現象の学理解明。